心の理論とは?
心の理論とは、その人がその人の心に従って行動することを理解・予測できる能力のことです。
相手の心を考えることができる力とも言えますし、
心をの存在を感じることができる理論とも言えます。
心の理論は他者とのコミュニケーションにおいて非常に重要な概念です。
自閉症スペクトラム障害(ASD)をはじめ、コミュニケーション面の障害が注目されている昨今、心の理論は発達障害児の療育において重要な考え方になります。
心の理論の解説
心の理論とは相手の立場になって考えることができるかということです。
意味はわかりますが、やや抽象的ですね。
何をもって心の理論が備わっている、
相手の立場になっているとするのでしょう。
端的には他者の誤信念を理解できるかであると考えられます。
誤信念とは、「人は正しいときもあるし間違うこともある」ということを想定できるかということです。
たとえ第三者から見たら正解がわかっていることでも、その人が間違った情報を信じていれば、間違うこともある。
心の理論とは自分の価値観・情報ではなく相手というフィルターを通して相手がどう考えるかを予想できる力です。
サリーとアン課題
心の理論には他者の誤信念を理解できるかが重要です。
そのため心の理論を見るには、誤信念を想定した状況でそれを読み取れるかを見ます。
こういった課題の類を誤信念課題と言います。
心の理論を見るための誤信念課題として、
最も有名なものの1つが「サリーとアン課題」です。
- サリーとアンが部屋で遊んでいます。
- サリーはボールをかごの中に入れて部屋を出ました。
- サリーがいない間に、アンがボールを別の箱の中に移します。
- サリーが戻ってきてボールを探すとき、どこを探すでしょう?
という問題です。
この場合、答えは「かご」になります。
アンがボールを箱に移すことを、サリーは知らないからです。
自分はこの話全体を聞いているからボールの本当の場所を知っているけれど、サリーの立場に立てばボールの場所はかごだと思っている。だからたとえボールがかごになくても、はじめにサリーがボールを探す場所はかご。
という一連の思考が、心の理論の例になります。
おわりに
「相手の立場になって考える」ということは、奥深いものです。
発達障害児に限らず、心の理論は万人のコミュニケーション関わる大切な考えだと個人的には思います。