自閉症スペクトラム障害(ASD)の主な症状と特徴
発達障害の1つである自閉症スペクトラム障害(ASD)には、大きく以下のような症状が特徴とされます。
- 「対人コミュニケーション」や、「相互的対人反応」の障害
- 行動や興味、活動が限定的であったり反復的である様式
以下、それぞれもう少し詳しく見ていきましょう。
ASDの症状の解説
「対人コミュニケーション」や、「相互的対人反応」の障害
対人コミュニケーションの苦手さ
対人コミュニケーションについては文字通り人とのコミュニケーションを指します。
本来コミュニケーションとは、相手のことを尊重しつつ、自身の気持ちも上手に伝えることを意味します。
一般的に「コミュニケーションが上手い」「社交性がある」と聞くと、八方美人であったりYESマンを想像してしまう人もいるかもしれません。
しかしながら本当の意味でコミュニケーションが上手いとは、相手の気持ちを察して対応できるだけでなく、相手が受け入れやすい言葉で自分の気持ちを言えることも含ます。
自閉症スペクトラム障害のお子さん達は対人コミュニケーションに苦手さがあります。
この苦手さとは相手の意図の読み取りだけでなく、自分のことを上手に伝えられない・表現できないことも意味しています。
相互的対人反応の苦手さ
相互的対人反応とは、社会で人と人とが関わる上で取る行動や反応のことです。
例えば自分が住んでいるマンション内で誰かと会ったとき、たとえその人が話したことがないほぼ他人の関係性だったとしても、挨拶くらいはするでしょう。
一方でマンションを出て駅まで歩く途中、見知らぬ人に逐一挨拶をしながら歩くことはしないでしょう。
前者は同じマンションの住人であり、後者は完全に他人だからです。
このように人は社会で生きていく上で、あえて言葉にしないような微妙なニュアンスを汲み取っています。
自閉症スペクトラム障害のお子さん達はこういった暗黙の了解とも言える対応に苦手さがあります。
行動や興味、活動が限定的であったり反復的である様式
活動や興味が「限定的」であったり「反復的」である様子は、一般には「こだわり」と呼ばれる症状です。
こだわりは人間誰しもありますが、自閉症スペクトラム障害のお子さん達はそのこだわりが非常に「特異」だったり「過度」であったりします。
こだわりは状況によってその子の「長所」にもなりますが、場合によっては社会生活に支障をきたす「困難さ」にもつながります。
また「こだわり」はその人の生活に安心感を与えてくれる一方で、過度にこだわりが助長されれば、日々の生活の視野が狭まってしまう可能性もあります。
その子の好奇心やその子「らしさ」を尊重しつつ、切り替えや広い視野を持つことの経験も必要です。