コラム

小児分野の言語聴覚士(ST)も大人を診ることがある

小児のSTも大人を診ることがある

言葉のリハビリの仕事である「言語聴覚士」。
英語の頭文字を取って現場では「ST」と呼ばれることが多いです。

STの仕事の分野は大きくは「成人」と「小児」に分かれます。

「小児」は文字通り子供を対象にした分野ですが、場合によっては大人の人を対象にする場合もあります。

これは成人分野の ST がどんな疾患を対象にするか、小児分野の ST がどんな疾患を対象にしているのかという背景が関わっています。

「成人」と「小児」の疾患

「成人」とは文字通り大人を対象にする分野で、
ST の場合は脳卒中に伴う失語症などがよくあるケースです。

つまり後天的な障害に対するリハビリです。

一方で、小児、つまり子供の頃の障害となるとそのほとんどは先天的な障害を対象とします。

発達障害や脳性麻痺、ダウン症などの遺伝子疾患や知的障害に伴う言葉の遅れなどです。

基本的に、「障害」というものは「治る」ものではなく続いていくものです。

子供の頃に支援が必要だったお子さんが、大人になってもリハビリの必要性があることは珍しくありません。

では、先天的な障害を持った人が大人になったとき、成人分野の ST がリハビリをできるかと言えば難しい現状があります。

先ほど書いた通り、成人分野の ST にとって「発達障害」や「脳性麻痺」は専門外の分野にあたるからです。

そのため、結果として小児の ST が大人になった人をみることになります。

このように、
小児のSTは「子供」だけでなく、「子供だった人」を対象にする場合もあるのです。

小児のSTが対象とする大人の人

小児の ST が対象とする大人の人で、最も多いのが脳性麻痺などをはじめとした「重症心身障害」といわれる方です。

また、現状は少ないですが、近年は「大人の発達障害」という言葉もよく耳にしますから、自閉症スペクトラム障害も対象になってくるのではと思います。

実際、発達障害のお子さんの支援のニーズも、幼児期から学童期もと範囲が広がりつつあります。

おわりに

分野や領域というのは時代の変化やニーズによって変わるので、これからも変わっていくとは思います。

いずれにせよ、 ST という仕事が社会において役に立てる立ち位置を柔軟に見つけていくことが大切なのだと思います。

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