コラム

発達障害の子供との接し方|子育てと応用行動分析(ABA)

自閉症スペクトラム(ASD)の子との接し方

一口に発達障害と言っても、
その症状というか特性はお子さんによって様々ですよね。

おそらく「発達障害児への接し方」というよりは、
「その子への接し方」というように、
個人を見てあげることが大切なのでしょう。

しかしながら、
「人による・状況による」というあいまいな答えだけでは、
「じゃあ具体的に何をしたらいいのか?」ということになってしまいます。

発達障害児と接する上で、
何か「コツ」のようなものがあれば
いくぶん子供との接し方がわかりやすくなるかもしれません。


これは発達障害児に限らず
子供との接し方全般に言えることだと思うのですが、

子供と接する上でのコツの1つに行動心理学があります。

行動心理学とは?

行動心理学とは心理学の分野の1つです。
文字通り人間の行動について考える学問です。

行動心理学では
直前の行動や前後の状況を踏まえて、
その人の傾向やそのあとの行動を考えていきます。

例えば、禁煙をしたい人がいたとします。

「今日から禁煙するぞ!」と心に誓う。
これは普通の対策ですね。

ではこの「禁煙をする」という目標に対し、
行動心理学的に考えてみます。

まずこの人がよく煙草を吸う状況を洗い出してみます。

どうやらこの人は会社の昼休みに煙草をよく吸っているようです。

また、この人は煙草を会社の資格のコンビニで昼食を買うついでに買ってしまっているようです。

このことから、
昼休みに煙草を吸えないようなシチュエーションを作れば、
禁煙が達成しやすいことが予想できます。


また、この人はコンビニで昼食と一緒に煙草を買っているわけですから、

コンビニに行けば「煙草を買いたい」という誘惑に駆られることも予想できますね。

以上から、
この人は単に「禁煙するぞ!」と心に誓うより、
「昼や弁当を持参してコンビニに行かないようにする」
という習慣を作ったほうがより具体的に禁煙対策ができることがわかります。

このように、
行動心理学では単に「がんばる」とか「意思の力」ではなく、
人間の行動の流れを考えて対応をしていきます。


こういった対応方法を行動心理学の中でも特に
応用行動分析(ABA)と言ったりします。

応用行動分析(ABA)は発達障害児の療育場面でよく用いられる手技の1つです。

応用行動分析を活かした子供との接し方

例えば子供がいつもスーパーでお菓子を買ってと泣いて困っていたとします。

どうしたら子供と落ち着いて買い物ができるか。

その子の行動の流れを考えていきます。
いつもその子はお菓子売り場に来るとお菓子を買ってほしいをねだります。
そして買わないと泣いてしまったり、その場に座り込んでしまいます。

しかし他の場所では何かを買ってと特にせがんだりはしません。

お菓子が好きなのもあるのでしょうが、
この子にとってお菓子売り場を通ることは、
ある意味で親に「買って」とせがむスイッチになっていることが予想できます。


さらに日々の習慣を振り返ってみると、

子供が泣く
 ↓
お菓子を買って静かにさせようとする
 ↓
子供はお菓子を買ってもらえる

というように、

「泣けばお菓子が買える」
という悪循環が成立していることがわかります。


ではこういった状況をどう打破すればいいのか。

まず第1段階として
お菓子を買ってもらう方法を「泣いて駄々をこねる」方法から別の方法へ移行します。

具体的には、
「お菓子を買ってもいいよ。ただしまずは涙を拭いて。
そして欲しいお菓子をきちんと言葉で教えて」

などのように、

自分の主義主張だけでなく、
こちらの要望を(小さいものでいいので)飲んでもらいます。


こうすることで、
自分の意見を通すためには
相手の意見も受け入れないといけない
という意識を習慣化していきます。


この関係性が成立してから、
次の段階に移ります。

しっかりと相手の話を受けれいてくれる関係性ができてきたら、今度は

「お菓子を買ってもいいけど、
お魚コーナーのお買い物を待つことができたらね」

などのように、

少しずつ条件を複雑なものにしていきます。
こうして話し合いや互いの意見に譲歩しあえる関係性を作っていくのが第2段階です。

ポイントとしては、
「お魚コーナーについてきてくれてありがとうね」
などのように、

子供ができたこと・受け入れてくれたことをしっかり褒めてあげます。

親が子供の習慣を作ってしまっていることがある

人間の行動というものは複雑ですが、
習慣がその人の行動を作っている部分は多々あります。

だからこそ、
その子の行動の先に、
周囲がどんな反応をしているのかを考えてあげることが大切です。

泣いてお菓子を買ってもらえる。
叩いたら友達がリアクションをしてくれる。

そういった、
ネガティブな行動習慣の形成に気を付けます。

一方で、
挨拶を言えたら褒めてもらえた。
お手伝いをした後にお菓子がもらえた。

ポジティブな習慣形成を後押ししていきます。

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